第38章 初めての全中
翌日、1軍用の体育館はいつもと違って静かな中で黒子がおり、制服のままゆっくりドリブルをしていた
黒子はゴールを見ながら全中での出来事を思い出し、自分の手を見てからをむいぃ~っとつねった
そこに赤司が「黒子」と話しかけると彼は驚き、赤司は「今日は朝練はないはずだが…」と彼に問いかけた
黒子
「赤司くん…いえ、なんとなく早く起きてしまったので…」
赤司
「そうか…
ちなみにさっきのは何をしていたんだい?むぃーって」
黒子
「見てたんですか
…なんというか、まだ実感が湧かなくて…去年の今頃僕は3軍で…しかもいくら練習はしても全く通用せず、昇格はおろか部を辞めようかさえ思っていました
それが今は1軍でみんなと一緒に戦って、優勝まで経験させてもらった。うれしいと思う以上に、夢のようで信じられません
そう考えていたときにそのきっかけをくれた人が現れた。これを機会に言わせてください
赤司くんのおかげです。ありがとうございます。ここまで必死でずっと言いそびれてしまいましたが、今の僕があるのはあの日赤司くんが手を差しのべてくれたからです」
赤司
「…俺は何もしていないよ。確かにあのとき俺は黒子に可能性を感じて声をかけた、けどそこからはい上がってきたのは黒子自身の力だ
しかも、その力があってこその今年の優勝だった。礼ならばむしろ俺が言いたいくらいだよ
ほっとするのはまだ早いよ、俺達にはもう1年ある。来年に向けてまた気をひきしめなければ、3連覇のためにね」
黒子
「…はい」
そう言って視線を合わせる赤司と黒子だったがふと黒子が赤司に疑問をぶつけた
黒子
「…ところで、赤司くんと名字さんはなぜ今日こんな早くに?」
赤司
「昨夜コーチから連絡があってね、職員室に行ったが早く着きすぎてしまってまだだったのでこれからもう1度…」
桃井
「いた、赤司くん!…とアレ!?テツくん!?」
赤司
「桃井、君もか?」
走ってきたのか息を乱れている桃井に赤司は「…どうした?もしやもう、コーチと話したのか?」と問いかけると桃井は「…それが、白金監督が……倒れたって…!」と言った
その事に、赤司と黒子は目を見開いた