第38章 初めての全中
青峰
「(ちょっとマジメにやったらこれかよ?…相手のやる気まで失せちまったらもう、バスケの何が楽しいんだよ)」
そう思いながら青峰は自嘲し、拳をぶつけようと手を出してきた黒子を「テツ…」と力なく呼んだ
彼の様子がいつもと違う事に黒子は驚いて、目を見開いた
青峰
「お前の言ったことは間違ってねぇと思う。けどやっぱ…ダメだわ、なんか気づいちまった」
黄瀬
「!?」
桃井
「(青…峰くん!?)」
青峰
「俺の欲しいもんは…絶対見つかんねぇ。俺に勝てるのは、俺だけだ」
黒子
「…え?」
そのおよそ3分後、帝光は169対81でダブルスコアで勝利したものの、控え室ではとても不穏な空気が流れていた
桃井
「青峰くんっ!!さっき、テツくんと…なんで…」
桃井
「うるせーよ、ちょっと外いってくる。1人にしてくれ」
緑間
「まさか、イヤな予感がこんな形で当たるとはな…」
黄瀬
「……!」
緑間の言葉に黄瀬は先日彼から聞いた「誰よりもバスケを好きであるが故に欲しているものがある。自分と対等に勝負できる好敵手だ」との言葉を思い出し、辛そうに眉を下げた
紫原
「こーゆー時さー、峰ちん追うの、黒ちんじゃないの~?」
赤司
「ああ…だが、黒子にもショックなことだったはずだ。今すぐにというのは難しいかもしれない
だがすぐに次の試合が始まってしまう。最悪、青峰がベンチでもやるしかない。その後、宿舎で話をしよう」
落ち込んでる黒子に黄瀬が話しかけようとすると黒子の携帯が震え、電話がかかってきた事を知らせた
彼はそれを理由に「すみません、電話です…ちよっと外します」と控え室を出て人気のない場所へ行き着信名を確認すると「荻原シゲヒロ」と表示されていた
黒子
「…もしもし」
荻原
「…」
黒子
「…どうしたんですか?」
荻原
「ワリィ…黒子、負けちまった」
黒子
「…え?」
荻原
「もうちょっとだっ…たんだけどさ…っ…っ…あ~だめだっ…!悔しくてうまく話せねーわ、そっちは勝ったんだろ?」
黒子
「…はい」
荻原
「そっか…おめでとう。応援行きてーけどこのあとすぐ帰んなきゃなんねーんだ…ワリィ」
黒子
「そんな…何度も謝らないでください」
荻原
「ああ…そうだな…ワリィ」