第29章 紫原VS黒子
第1Q残り15秒という時間まで迫ったが、誠凛は未だ点を決めることができなかった。が陽だ泉は18点ほど決めており、彼らにも相田にも焦りの表情が見えていた
日向
「(シャレになんねー!なんつーかたいDFだ…!!霧崎第一戦でもほぼ10分間ノーゴールに封じられた時はあったが、それとは全く別物だ。マジでビクともしねぇ!)」
相田
「(しかもこの点差…これ以上話されたらマズイ、ここは絶対決めなきゃ…」
アレックス
「(第1Qが終わった時20点差と18点差じゃ精神的疲労は天と地ほど違う。この1本止めればまだ戦える…だが、止められなければまず間違いなく致命傷だ…!)」
陽泉のOF状態でボールを持った氷室はシュートモーションに入っていた、。そこに火神がブロックで跳び、氷室の放ったボールに指がかすった
そのボールはリングに当たり外れたが、火神がブロックに跳んでしまったためゴール下には木吉と日向になってしまい、相手が2m越えのため勝ち目がなかった
だが木吉の脳内では景虎のスポーツジムでした会話を思い出していた
景虎
「リストカールにハンドグリップ…なるほど握力強化かいいトコに目をつけたな。確かにそれはお前のでかい手には相性がいい。入院中からずっとやってたんだって?」
木吉
「…何をすれば1番誠凛のためになれるか考えた結果です
黒子というパスをつなぐスペシャリストが入った今、俺のパスとシュートの2択で戦うスタイルをこれ以上強化する意味はあまりない
今まで通り中からもパスを出しますが、何よりも欲しいのは守る力です」
相田
「…ふーん。じゃこれもやった方がいいぞ」
木吉
「…石?」
景虎がどこからともなく出してきたのは先程誰かが足をぶつけた漬けもの石だった
景虎
「これを放るから片手でキャッチするんだ。握力を鍛えるには筋肉をつけろのも大事だが、実際に何か掴みづらいもんを掴むトレーニングも入れたほうがより効果的だ」
木吉
「それは…キツそうですね」
景虎
「あぁん?何言ってんだまったく…あいつらと約束したんだろ?
もっとデケーもん掴みてーんだろが、これぐらいヨユーで掴んでみせろい」
彼はそのことを思い出しながら「誠凛のゴールしたは俺が守る!」と改めて誓い空中にあるボールを片手で掴む「バイスクロー」という技を出した