第26章 『ゾーン』
今吉
「ちゅーわけで、ワシら3年は引退や、今までありがとうな。新主将は若松にやってもらう。よろしゅう頼むわ」
若松
「ちょっ…え"え"!?」
今吉
「大丈夫こーゆーのは習うより慣れろや」
若松
「いやそうじゃなくて…切り替え早すぎっつーか…」
今吉
「何言ってんねん一回戦負けやで!?悲しんどるヒマあったら練習せえや」
誠凛との戦い終了後、桐皇は控え室で引退式を行っていた。3年生の目元は赤くなっており、桜井はそれを見て「先輩たちはこれが最後の戦いだったんだ。何も感じないわけ…あるもんか」と歯を食いしばった
若松
「けど俺今吉さんみたく青峰と仲良くなんて…やってけねーっすよ。絶対」
今吉
「青峰は嫌いか?」
若松
「…嫌いっす」
今吉
「じゃあ今。このチームで誰が1番エースにふさわしいと思とる?」
若松
「……青峰っす」
今吉
「そんだけわかっとれば大丈夫や。なんも心配してへんでワシは」
若松
「そーいやその青峰は?」
桜井
「行方不明で…桃井さんが探してます」
若松
「あのガキャぁ…!!」
その頃青峰は会場の敷地内にある外に寝っころがり3段ほどの階段に足を曲げてのっけていた。彼はただただ空を眺めていた
桃井
「あーもー見つけたー!!もうすぐ1人でどっか行っちゃわないでよ!ほら、みんなのトコ早く戻ろ!」
青峰
「さつきー、明日ヒマか?」
桃井
「そりゃあ…」
青峰
「買い物付き合ってくんね?」
桃井
「え!?いやっイイケド、え!?何急に…」
青峰
「バッシュ新しいの欲しーんだよ。あー…練習してぇ…」
桃井
「いいよ…行こっか!大ちゃん!けどゴハンおごってね」
青峰
「あん!?」
青峰の発言に桃井はふわりと笑みを浮かべて、青峰の呼び方は大ちゃんへと戻った
その頃誠凛高校の控え室前では降旗が「あれ、帰り支度まだなんですか?」と相田に問いかけ、「いやぁ…私も早く帰りたいんだけど…もうちょっとだけそっとしといてあげましょ」と呆れたような顔をしながら笑みを浮かべた
中では選手が疲れたのか寝ており、相田は彼らに「おつかれさま」と呟いた
誠凛高校は無事、WC一回戦突破した