第23章 再会
黄瀬
「ほら!できたッスよ!」
名前
『あ、ありがと…すごい、程よく毛先が揃ってる…』
なぜか涼太は鏡を持っており、あたしに出来映えを見せてくれた。大体長さは鎖骨辺りで、うわー…この長さハネるじゃんと思いながらも彼にお礼を言った
後ろで涼太は緑間に礼と言ってハサミを返していた。…あれ、文房具のハサミって髪切るのに使ったら傷むんじゃなかったっけかな?
緑間
「…名前、お前にこれをやるのだよ」
名前
『…ヘアピン?』
緑間
「お前の今月のラッキーアイテムだ。着けていろ」
名前
『今月、あと少しで終わりだけど…まいいか。ありがと』
黒子
「監督みたいに着けたらどうですか?」
名前
『…うん。そうする』
そう思って前髪を自分から見て左側にふんわりとさせながら寄せて、ヘアピンを止着けると涼太なんかは「似合ってるッス!」と褒めてくれた
なんだか分からないが…この懐かしい感じと寂しい気持ちが混じり合って、先程まで抑えていた涙がポツリと地面に落ちた
名前
『なんだろう…悲しい、なぁ』
黒子
「名字さん…」
緑間
「大丈夫だ。一番最初に赤司と戦うのは俺だろう。その時に勝って…思い出させてやるのだよ」
黄瀬
「そうッスよ!俺だって誠凛が負けても青峰っちも紫っちも!思い出させて見せるっス!」
黒子
「いえ、大丈夫です。負けませんから」
何も変わってない彼らに笑みを浮かべると、涼太は「名字っちぃ!」と抱きついてきたが…殴らないでおこう。だが隣にいた緑間が涼太の頭をスパンッと叩いていた
…あたしが殴んなくても緑間が殴ったかー…と思っていると涼太の携帯が再び鳴り出し、ファンの子かと思ったが予想が外れてしまった
笠松
《黄瀬ぇ!いつまでほっつき歩いてんだ!もうアップ始まんぞ!》
黄瀬
「ああああ!すみませんっス!じゃあ名字っち!黒子っち緑間っち!」
騒がしい奴がいなくなったことで緑間はため息を吐いて「ちょうど、お前らに話があるのだよ」と話を始めた。その内容を聞いたあたしは涙が止まるくらいの衝撃とその内容を思い出した
その後、ただ言葉を連ねていく緑間の話を流しながらもしっかりと聞いていた