第17章 それも運命
第3者side
黒子が桃井達と一緒にいた2号を見つけた辺りの時間帯のこと
木吉はまたロッカールームへと戻ってきて、ベンチへと座っていた
木吉
「…~っ、っ…ぷはぁ」
木吉はズキズキと痛む膝を押さえながら眉間を寄せて、痛みを我慢しているようだった
そんな彼を見越してか、日向は気づくとドアの辺りに立っていた
日向
「ったく、ヤセ我慢しやがって…」
木吉
「!」
日向
「あの場面でお前が外す方が不自然なんだよ
ルーティン(集中力を高めるために行う一連の動作)も崩れてたしな」
木吉
「なんだよ…バレてたのか…」
日向
「あやしいとは思ってたけど…次の霧崎第一戦木吉、お前は出るな」
木吉
「ふざけんなよ…去年と同じようにまた予選でリタイアしろってのか?
おそらく今年が最後のチャンスなんだ…このビザがぶっ壊れても俺は出る!」
その会話では廊下で2号発見のメールを受け取った火神にまで聞こえており、彼は木吉が言った最後という言葉が妙に引っ掛かったのだ
その後みんなが続々と戻ってきて、最後に2号を抱えた黒子と泣き腫らした名前が一緒に戻ってきたのを見て誠凛はざわついていた
相田
「ど、どうしたの名字ちゃん!」
名前
『…だ、大丈夫です』
相田
「大丈夫ではなさそうだけど…なら行きましょうか
伊月くん」
名字ちゃんよろしく。と目で伝えた相田の言葉を伊月はしっかりと理解した
彼は帰り道できるだけ黒子と側にいて、どうでも良い当たり障りのない話をしていた