第7章 本田菊さんの彼女。
謝らなくちゃいけない?本田君が?私に?なんで?
心夏「…う、うん…。聞く…。」
内心不安ながらも聞くことにした。
菊「…。 これを聞いても、どうか、私を嫌いにならないでください…。」
いつもよりワントーン低い調子で話す本田君。
その声は少し震えている。
私は頷き、話が始まった。
菊「……私は、貴女を見捨てたも同然のことをしてしまいました…。」
心夏「え?」
唐突過ぎて話が読めない。
心夏「え?見捨てたって… え、え?」
菊「私は、貴女が私の家に来て丁度6年がたったある日、貴女は急に泣き出しました。まるで幼かった頃のように。
理由を聞いても答えてくれず、ずっと泣き続けているだけでした。貴女は急にむしゃくしゃしだしてお祝いのために前々から用意していたものを壊してしまいました。それを見て桜は泣き出し、貴女は罪悪感を覚えたんでしょう…。震えながら『ごめんなさい、ごめんなさい』と言い続けていました。
そして、家を飛び出していきました。
ですが、私たちは追いかけませんでした。「きっとすぐ帰ってくる」そう祈って。
貴女はそれからずっと帰って来ませんでした。
警察の方に頼んでも結局見つからず、不安と罪悪感ばかりがのしかかりました。
貴女が泣きだした理由はきっと、本当の両親に会いたくなったんでしょう…。その心も汲み取ってあげられず、私は、貴女を…」
心夏「…ほ、本田君は悪くない… 悪いのは私…!! ごめんなさい… 心配かけて、ごめんなさい…‼」