第6章 私の記憶
真剣な表情で私を見る二人。
私は、誰が好きなのか、
ゆっくり、じっくり、私が後悔しないよう考えるつもりだった。
けど、そうとはいかなかった。
でも、案外その答えはすんなり出た。
やっぱり、本田君… 本田菊さんだと確信した。
入学する前、私はよく夢に男の人が出てきていた。その隣にいたのは私で…。
その夢に関しては特に疑問を抱かなかったけど、あれはきっと、本田君だった。
今はそう言い切れる。
きっと私は昔から本田君のことを好きだったんだろうね。
いや、好きだったんだね。
今ならはっきり言える。
心夏「本田くん。です。」
アーサー君は無言で教室を出ていった。
…はっきり言いすぎちゃったかも…
でも本田君は、20秒ぐらいたってから反応した。
菊「…えっ…えぅ… ん、え…?」
まだ状況を把握できていないのか本田君の口からははっきりとした『言葉』が出てこない。
その反応を見ていると自然に笑顔になった。