第5章 喧嘩の始まりの始まり。
心夏「……本田、君は 私のこと…が 『好き』…?」
菊「はい。…すみません。」
…え、え?
今私の目の前にいる、本田菊君は、私…が好き??なんで?ありえないよ
心夏「…なんっ…なんで…?」
菊「えっ なんでと言われましても…//」
心夏「嘘じゃないの…?」
菊「はい。それは絶対です。約束します。」
意味もなく目頭が熱くなる。涙が流れてきたのに気づいた時にはガチ泣きしていた。
どうしても涙が止まらなくて、不安になった位。
でも、それよりも心配している人がここにもう一人。
菊「えぇっと… えっと、どうしましょう…;な、泣き止んでください…;」
心夏(私もできるならそうしたいよ…。)
本田君は、何かに思い迷った後、顔を赤く染めながら私の頭を撫でてくれた。
その手は、前よりも少し小さくなっていたけど、相変わらず暖かく感じた。
今私が言った『前』がいつのことなのか、私にはわからないけど。
私の頭の上にあった本田君の手は、いつの間にか私が両手で握っていた。
心夏「…っ。…っ。 …前と変わらない暖かい手だね。」
半分ひくひくしながら精一杯言った言葉。
菊「…心夏さんの手は、相変わらず小さいですね。かわいらしいです。」
そんな言葉でさえ、恥ずかしくなり、真っ赤になって俯いていた。
心夏「私ね、昔の記憶が知りたくて …っ。 いろいろ考えてたら受験した学校全部落ちちゃって、 …っ。 そしたらこの学校に入ることになってたの。でも、そのおかげで本田君に会えたし、記憶のこともこれから徐々に知っていけるとおもう。 …っ。 だから、この学校にはいれてよかったな、と思ったよ。 …っ。 だからね、教えてほしいんだ。…っ。 昔のこと。」
泣いて混乱しているのもあるけど、随分と長たらしく説明していた。
説明力のかけらもない私の話をじっと聞いてくれてる本田君。
そして、頷いた。
菊「分かりました。少々長くなると思いますが、全て話します。」