第7章 本田菊さんの彼女。
路地裏を出て、平然を装うよう街を行く。
それでも行動には出てしまう。
歩く速度、距離感、口数。全て何かがおかしい。
本田君も私も口には出さないけどきっと感づいているはず。
度々うわの空になりながら、気づくと夕方に近い時刻になっていた。
菊「そろそろ駅に向かいますかね」
心夏「あー、うん。そうだね。」
乗った電車、バスの所要時間は行きと変わらないはずなのに、あっという間に感じてしまう。
菊「心夏さん。」
心夏「…ん?」
菊「……怖いですか?」
心夏「……はは、やっぱ本田君にはお見通しだね。」
反射的に微妙な笑顔が出てしまう。
本田君が私の顔を見て安堵の表情を浮かべた。
菊「本音を言ってもらえて安心しました。心夏さんは人を気遣った嘘、昔から付いてましたし。本音を言ってくれたと言うことは、信頼されてるということですよね。だとしたら、嬉しいです。」
本田君のいつもの表情、声で一気に緊張がほぐされた。
なんだろうね。
いっつも助けられてるのは私だね。
ありがとう。
それしかないよ。
だから、
今日は、
キミに――――