第7章 本田菊さんの彼女。
~菊side~
個室の部屋を出て、一般のフロアを見回す。
日本人からしたら長身のあの二人は、やはり浮いて見えるよう。
すぐに見つけられた。
菊「……あの、お二人とも…」
フェリ「あれっ?菊、さっきの女の子は?」
二人は何食わぬ顔でケーキを頬張っている。
ルート「あ…本田、さっきは本当にすまなかった…」
菊「いえ…いいんですよ」
フェリ「いや、よくないよ‼本当ごめんね。俺も女の子といい感じになってるとき、邪魔されたくないもん!ルートから説教されて気づいたんだー…」
八の字に下がった眉からは反省が伺える。
遺憾の意…と思っていた心に刺し水か。一気に冷やされた。
フェリ「それにしてもさ、あの女の子、菊の彼女だよね?ね?」
菊「なっ」
ルート「や、やはりそうなのか?」
菊「……はい、そう…です//」
気心知れている友人にも恋愛事情を話すのは少々恥ずかしい。
で、でも、恥じらうことは美徳‼えぇ。そう信じてますとも!
心夏「……本田君?」
腕時計を見ると、結構時間が経っていた。
菊「心夏さん!すみません、遅くなってしまって…」
フェリ「この子、心夏って言うんだー、君、可愛いね!今度俺とお茶でもしn―――って、菊の彼女だった!」
心夏さんがくすくすと笑う。
それにつられて私を含め、ルートさん、フェリシアーノ君も笑う。
なんだか私の友人と心夏が一緒に居る、というだけで変な感じがする。というか、とても新鮮だ。
気づいたら会話が弾み、15分程が経過していた。
菊「え、えっと…立ち話もあれなので、それぞれここでの時間を過ごし終えたら合流しましょうか?」
これでも気を利かせたつもりだ。
心夏「うん!私は賛成!もっとお話したいし」
フェリ「うんうん、俺も賛成!」
ルート「俺も構わんが…本田はそれでいいのか?」
菊「ええ。もちろんです。」
本音。ではない。
でも、ここは空気の読みどころだ。
ここで生かさないでどうする私!と、自分に言い聞かせる。
心夏「って、あ!紅茶冷めちゃってるよ、きっと!」
菊「あっ。すっかり忘れてました…、では、後程。」
頭を下げ、その場を後にした。