【ONE PIECE】僕に盲目になって【ローorキッド】
第1章 君の光を守りたい二ヶ月間
「…きっと大丈夫ですよ。この島の方達は、海軍も好きじゃないんです」
「……前に襲われたとき、救助に来なかったとかか?」
「似たようなものです。もっと…酷いかも」
「…助けを請うことは…無ェってのか」
あれから部屋に通されて、花の模様をあしらった極普通のグラスでおれはワインを飲んでいた。
女は、おれも危うく飲まされそうだった香りの良い紅茶を淹れて向かいに座っている。
先程の電伝虫での会話についてそんな答えが返ってくるも、さすがに何の確証も無しにそれを鵜呑みには出来ない。
「まあ…勿論、言い切ることは出来ませんけど…」
「可能性は低いってことか」
「ええ。以前にも何度か海賊の停泊を黙認していたことが有りますよ」
「そうか…」
「用心するに越したことは無いですけどね。見つかってしまっては元も子もありません」
「ハハッ…かくまってくれるか?」
「はい、喜んで」
冗談のひとつでも言って困らせてやろうとすれば笑顔でそんなことを言い出す女に、おれは口に含んだワインを噴き出すのを堪える。
「……そんな義理、無ェだろうが」
「あ、有るじゃないですか。私が落としたものを拾ってくれたり、此処まで重たい荷物を運んでくれたり」
「…それっぽっちのことだろ。おれに殺されるかもしれねェとは、考えねェのか」
「…今は、考えられないです。命を粗末にする気はないけど…もしそうなってしまったら、私が世間知らず過ぎたんでしょうね」