• テキストサイズ

【ONE PIECE】僕に盲目になって【ローorキッド】

第1章 君の光を守りたい二ヶ月間






そう言って籠を女の足下に置いた途端、ポケットの中にある子電伝虫が鳴り響く。
下っ端に交代制で任せている船の見張り番か、はたまた酒場で別れ際に連絡を取れる状態にしておけと念を押してきた仮面の男か。
誰からであっても、今目の前で申し訳なさそうにする女の元から立ち去る口実には丁度いいと、おれは黙って背を向けそれに応答する。


『キッド。この島に敵が居る。海軍大佐だ』

「……船の数は」

『うちの船がある真逆の港に一隻。こっちのことがバレている訳でも、巡回という訳でもないらしい。酒屋のマスターが酒を調達しに街へ下りたとき、おれ達が金を渡してある店で食材を買い込む海兵を見掛け色々訊ねたそうだ』

「チクリが入らねェか見張っておけ」

『もう何人か行かせてある。今、何処に居るんだ。キッド』

「…街からは相当離れた場所だ」

『暫く動き回らない方がいいだろう。住民の目を下手に刺激するのも避けたい。宿に戻れる状況になったら改めて連絡するからそれまでその場で待機してくれ』


口答えしようにも、会話は強制終了。
反論した所でそれ以上に良い策が有る訳でもなく、おれはもう眠ったかのように眼を閉じてしまった電伝虫を睨み付けた。
長期滞在で無ければ好き放題暴れられたというのに。今回は、このルートからしか行けない島に用があるのだ。


「…………酒は有るか」

「…えっと…料理酒に使ってるものなら…」


仕方ない。
手に持つものがアルコールになれば、うっかりお茶会に参加なんてことにとならないだろうと、おれは嬉しそうにする女の後に続いて家の玄関を潜った。
/ 13ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp