【ONE PIECE】僕に盲目になって【ローorキッド】
第1章 君の光を守りたい二ヶ月間
「……家は近ェのか」
「はい。此処から…十分程歩いた、もう少し街から外れた所に」
「…手」
「え…あ、全然平気です!すぐに赤みも引くだろうし」
「…今日から二ヶ月、この島に滞在する。頼んじゃいねェが庇われたままってのも気に入らねェ。その手の詫びも含めて…家までそれ運んでやる。お前はついでに此処ら案内しろ」
「そ、そんな…悪いです!それに、本当に私が最初から最後まで迷惑をお掛けしただけで…」
「…テメェには島の案内も出来ねェのか」
勢いに任せそう言ってしまった後で、改めて柄では無いことの自覚はあったがあくまで正直な思いに変わりはなかった。
宿も近場だ。どちらにしろこれから多少の土地勘は必要で、島の住民の殆どが恐れる我ら海賊を堂々と庇うなど酔狂な行動を取る都合のいい存在が居るなら、こうするのは不自然でも無いだろう。
「…………はい。それじゃあ…お願いしても、いいですか?」
優しく、困ったように眉尻を下げ女は笑った。
あまりに邪気のない受け応えに、調子が狂う。居心地が悪い訳ではなかったが、おれが顔を背けた所でまたそいつは果物を拾い始めた。
今度は、落とさぬよう。
ゆっくりと。
* * *
「重かったですよね、ごめんなさい」
「…お前、本気で言ってンのか」
「え…え…?」
確かに、この女からすれば結構な重さだ。それがわかっていたからこそ、ついでと言って代わりに運んでやったのもある。
だが、背丈だけでおれとお前がどれ程違うと思っているんだと問いたくなった。
「じゃあな。お前の案内だけで大分島が把握出来た。おれは行く」
「あ…そんな、案内ぐらいでお礼にはなりません。良かったら、中でお茶でも…」
「……おれが小さなティーカップに淹れたてのアールグレイなんざ啜るように見えるかよ。遠慮する」