【ONE PIECE】僕に盲目になって【ローorキッド】
第1章 君の光を守りたい二ヶ月間
「……わかった…もういい。○○ちゃん、おれが悪かった。兄ちゃんも、悪かったな。」
「…………」
「……あのときの…あの人は、悪者なんかじゃないよ…何度も言ったけど、海賊が…皆、悪い人なんて……私はそうは思わないから」
一気にトーンの落ちる喋り方に何となく踏み出そうとした足を留めれば、そんな会話の後に男の苦虫を噛み潰したような表情が目に入る。
不満、というよりは悔しがっているような、そんな表情だ。
暫く俯いていた男は、もう一度短く謝罪の言葉を呟くとさっさとおれより先に自店へと戻ってしまい、その場には同じ方向を見つめたまま立ち竦む自分と女だけになった。
「…その海賊に、やられたのか。目」
「あ……何と言うか…私、助けてもらっただけなんです。本当に」
「……傷つけられたことが、助けだったのかよ」
「傷つけるなんて!とんでもない!本当に私は……、って…そんなことより、何だか…すみませんでした…私のせいで。気分、良くないですよね…ごめんなさい、何とお詫びしたらいいか…」
思い出したように青褪める勢いで、ひたすら頭を下げる女。
膝に添えられる手首が赤らんでいるのは、最初におれが強く掴んだ痕だ。
折らない程度、というだけで条件反射に近かったそれは相当力が篭っていたに違いない。
根性の無い男なら海賊であろうと、気迫負けの材料になる十分な痛みに悲鳴を上げている筈だ。