【ONE PIECE】僕に盲目になって【ローorキッド】
第1章 君の光を守りたい二ヶ月間
「○○ちゃんに…近付くンじゃねェ!その子は…その子は只でさえ、海賊のお陰で酷い目にあってンだ!あんなこと…二度とあってたまるか!」
「…胸糞悪ィ野郎だ…そんなに死にてェか」
「…おじさん!やめて!違うの!」
すらり。目の前に立ちはだかりおれを庇う様、格子を作る女の脚。
普段出さないのであろう大声は何処か震えている。
思わぬ行動に、不覚にも一瞬時が止まった感覚を覚えた。
「○○ちゃん!そ、そいつに襲われてたンじゃねェのか…!?」
「…………チッ」
「違うよ!私…その、転んじゃって…そしたら、この人が、助けてくれたんだよ!さっき、おじさんのとこで貰った果物とか…拾ってくれたんだよ!」
冷静に状況を考えるおれは間違いなく当事者だ。
怒りはあるものの、本来ならすれ違うだけだった人物の必要以上の情報が今こうして耳に入り、その分だけ頭を働かせてしまうのは…身に覚えが無いにしろ、極悪人の自分が思い切り悪事を否定され、ましてや庇われるなんて事態に不慣れだからだろうか。
「…な……、そ…そうだったのか…」
疑いの眼差しだった。
無理もない。男の言葉から推測するに、この島、もしくはこの辺りは過去に海賊に襲われたことがあるんだろう。よくある話だ。
そして、この女も被害者の一人。
たまたまおれが知った目の不自由も、そのときのものかもしれない。
「ハッ…やたらめったら噛み付いてたら…おれら海賊と変わらねェぜ…?」
女が顔を此方に向け、不満そうに一度見つめてきた。
大方、余計なことを言うなと言いたいんだろう。
おれは面倒になりようやく立ち上がると、黙ってその場を後にしようとした。
「…それに…あのときの…」