第5章 媚薬◇黒子テツヤ◇
「お邪魔します」
「うん」
いつ、どこで、どうやって行動に出して来るかわからないので、家に着くまで僕は神経を研ぎ澄ませていました。
でも特に何もなく、さんのテンションも元に落ち着いていたので……勘違いかな?と油断してしまったんです。
「テツヤ……キスして…?」
「珍しいですね。さんからおねだりしてくるなんて」
「私だってそれくらいするもん……」
「いいですよ。沢山してあげます」
その油断がいけませんでした。
さんが自分から僕に「キスして?」なんて殆ど言いません。0に近いです。
言われた時点で警戒心を戻すべきだったのに……僕嬉しくなっちゃってしてしまいました。
深いキスを。
「ん…ッ!」
けど……途中で口の中に何か入れられたのを感じました。
さんが口移しで何を僕に渡してきたのかわからなくて、一旦離そうとしたんですが……
頭を押さえられて逃げられず……そのまま喉の奥へと落ちていってしまいました。