第6章 鼓動のSerenade*菅原孝支√
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「いたっ!」
その声で2人とも目が覚める。
倉庫のドアは開けられ、朝日が射し込んでいた。
「おはよう…」
「おはようございます……」
まだ寝ぼけている2人に他は驚愕した。
それもそうだろう。
昨晩から2人が消え、翌朝倉庫の中で見つかったのだから。
「大丈夫か、何もなかったか?!」
真っ先に駆け寄った黒尾が桃の体をグラグラと揺らす。
「大丈夫ですよ。」
(何かはありましたけど…)
桃は心配性な幼なじみに苦笑しながら、目をこすった。
一方菅原の方には
「スガ、どういうことだ…?」
「やっぱり何かあったんすか?!」
「え、そうなの…?」
黒い笑みを浮かべた澤村を中心に、烏野の仲間たちに囲まれていた。
いつもは信頼している仲間たちだが、今日は色々な意味で怖い、と菅原は思った。
「あるわけないべ!」
と叫ぶと、外からはタイミングよく「練習始めるぞー」というコーチたちの声が聞こえた。
その声にゾロゾロと倉庫から出て行く。
(助かった…)
菅原がほっと安堵の息をつくと、その一息が誰かと重なった。
その息の主と目が合う。
「昨日のことはみんなには秘密ですね。」
恥ずかしそうに微笑んだ桃に、菅原は微笑み返した。
その笑顔を見た桃はさっと顔を逸らす。
(どうしましょう……すごくかっこいいです……!!)
(やっぱり私は…)
(私は菅原さんが好きなようです……!)
改めて気持ちを自覚して、最終日が始まった。