第6章 鼓動のSerenade*菅原孝支√
それから別れの時まであっという間だった。
最も遠いところから来た烏野が一番に帰ってしまう。
桃は寂しさを抑えて、菅原に手を振った。
「あ、」と何かに気がついた菅原がつぶやいた後桃の方へ走ってきた。
「桃。」
「どうしたんですか、すが…孝支さん?」
慣れない呼び方に照れながら桃がいうと菅原は「よくできました」と満面の笑みを浮かべるので、ドキドキと心臓が高鳴るのは言うまでもない。
「ちょっとだけ目閉じて…?」
「え、え、」
戸惑う桃が返事する前に、菅原の顔が近づいてくる。
桃はゆっくりと目を閉じて、その熱を受け入れた…
「じゃまたな!」
菅原が大きく手を振る。
「はい、また!」
桃も応えるように大きく大きく手を振った。
………一週間後、桃がとある事情を持った友と宮城に訪れることになり、菅原に会いに行くことになるのはまた別のお話。
Fin.