第6章 鼓動のSerenade*菅原孝支√
「俺、東山のこと好きだから!」
このままではいけないと思ったのか、勢い任せの告白。
「驚いたと思うけど…一目惚れ、だったんだ…!」
(おい、何言ってるの?!)
頭の中は恥ずかしさでいっぱいで言葉をまくしたてる口を止めたいと思うのに、心がそうはさせなかった。
愛しさが言葉となって溢れてくる。
その言葉の数々は桃の顔を真っ赤に染め上げていく。
(菅原さんがそう思ってたなんて…)
予想もしていなかったことに、恥ずかしさと嬉しさとが混じって、くすぐったい気持ちになった。
「私………」
この気持ちを菅原に伝えようと桃が口を開く。
が、
「返事は今度にして!」
と恥ずかしさのあまり手で顔を覆っていた菅原が叫ぶと、桃は中途半端に開いた口を閉ざすしかなかった。
その代わりに首を傾げる。
「ほら………状況が状況だから、さ…吊り橋効果とかだったらやだし。」
上目遣いでそう言う菅原。
他校の先輩しかも男子に、不覚にも(可愛いです…!)と思ってしまった自分がいたので、先程自覚した感情が正しいか不安に思ってしまった桃だった。
混乱している桃は、
「そうですね、そうします。」
とだけ返した。
「なにもしないから、寝よっか。明日が保たないべ。」
「はい…!」
鼓動は不規則に高鳴りながら、夜は更けていく………