第6章 鼓動のSerenade*菅原孝支√
「楽しそうですね、それ!」
「……え?」
「私、バレーボール囲まれて寝てみたかったんです!それにここだったらソフトマットの上に寝ることも出来ますし…寝相が良かったら跳び箱の上とかでもいいですよね……」
「え、ちょっと……」
キラキラとした目で言葉をまくし立てる桃に菅原はついて行けない。
「どうやって寝ようかなぁ…」
未だに楽しそうな彼女に菅原は冗談だとは言えなくなってしまった。
「どこで寝てもいいけど、風邪は引かないようにしろよ~」
「それは菅原さんもです!こういう時って温まるにはどうすればいいんでしょう…?」
桃の頭には『遭難したときは人肌で温まる』という言葉が浮かんでいて、赤くなりそうな顔をなんとか抑えて、冷静を保とうとする。
一方菅原も同じことを思っていた。
そしてもう一度からかってみようと思って、
「一緒に寝たら温まるべ。」
と言っていた。
なに恥ずかしいこと言ってんだろうと自らを客観視してしまい、「今のは冗談!」と半ば叫ぶように付け足した。
桃もその言葉に、顔を真っ赤にした。