第5章 意地悪なJoker*黒尾鉄朗√
「この手紙、クロが書いたの?」
声に少しトゲがある桃に黒尾は反応に困った。
(こいつが怒るとか初めてだぞ…てか手紙って俺にも……!)
視線を遠くに向けると、見知った顔が見えた。言うまでもなくこの手紙を仕組んだ本人たちだ。
顔を見て、黒尾は全てを察した。
「ああ、そうだ。呼びだして悪かったな。」
なんとか話を合わせようとする。
「それで、なんの用ですか?」
(別にこんなこと言いたい訳じゃないのに…)
桃の思いとは裏腹に声は冷たくなってしまう。こんな自分が嫌になる。
「…一昨日のこと、謝ろうと思って。」
「クロが謝ることなんてなにも無いと思いますけど?私が勝手にイライラしているだけですしっ!」
とりつく島もない桃に、黒尾は戸惑う。
「じゃ、なんでイライラしてるか話せよ。」
せめてものとの思いで桃の気持ちを聞き出そうとする。
「!?」
が、黒尾が見たのは桃が涙を流す姿だった。
「な、なんで…なんで私に優しくするんですかっ?!」
(もうわからないよ…)
感情的になった桃が叫ぶ。
一度溢れた気持ちは止まらなかった。
「クロは…クロは!私のことが嫌いになったんでしょ!」
「…はっ?」