第5章 意地悪なJoker*黒尾鉄朗√
「お前、俺のこと探してたんだろ。」
「クロこそ。」
「で、なにか話したいんだろ?」
「まあ、話したいというか、聞きたいんですけど…」
心を見透かされるように気持ちを当てられ苦笑する。
(全てお見通しって感じですね。)
苦笑する桃を見て、黒尾は「どうしたんだよ。」と眉をひそめる。
「いえ、クロが何かを考えていたように思って…」
「!」
「私でよければ話、聞きますよ。」
「いや、お前じゃないと意味がない。」
桃はその言葉の意味が理解できなかったが、体が甘く疼く気がした。
黒尾は聞くべきか迷ったが、真っ直ぐ見つめる桃を見ると口が自然と動いた。
「…お前、またバレーやりたいのか?」
「えっ?!」
突然のことに桃は驚く。
まさか自分のこととは思わなかったから。
「合宿に来てから、お前ずっと、バレーやりたそうな顔してる。」
「え、どんな顔?!」
確かめるように顔を押さえた桃に黒尾は吹き出す。
「キラキラした顔。…犬が尻尾振ってるときみたいな?」
「わかりません…」と呟いて顔をしかめる桃を見て、もう一度笑い出した。
「やっぱり幼なじみだからでしょうか?」