第4章 Innocent Love*孤爪研磨√
「それに…おれが桃に上げたい。…セッターとして。」
「っ!」
セッターからの信頼。
桃が長らく忘れていたものだ。
今、それを感じる。
身体の奥の何かがざわめくのがわかった。
(ああ、これが…)
(これが私の感じたかった高揚感。)
桃は心臓の脈が強く感じられる気がした。
「わかりました。」
大きく息をつき、返事した。
一歩。
だんだん早く。
そして、踏み切る…!
十分な助走とジャンプをした桃に孤爪はトスを上げる。
さすが幼なじみというべきか。
そのボールは桃のスパイクのタイミングとぴったりだった。
ダンっ!
ボールは強い音を立てた。