第4章 Innocent Love*孤爪研磨√
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「私がボールを投げればいいですか?」
練習後、桃がボールを持って孤爪に近づく。
「いや…桃には打って欲しい…!」
「えっ!」
(じ、冗談でしょうか…?)
そう思った桃が孤爪を見ると、孤爪は至って真剣だった。
「でも…ここでは……」
「知ってる。桃が人前で打ちたくないことも。しかも『王女』って知られてたら尚更……」
「なら!「だけど!」
2人の声に周りには「なんだ、なんだ?」と人が集まってくる。
普段なら人の視線を気にする2人だが、この時は全く意識していなかった。
「だからこそ…桃がここで打てば、変われると思う……」
(ケン…!)
桃は孤爪がこんな風に考えているとは知らなかった。
心が温かくなる。
「なんでケンはそんなに優しいんですか…?」
「桃が特別だから。…おれにとって一番大切だから。」
(それってどういう意味ですか?)
そう思っても、いっぱいいっぱいになってしまって、言葉にできなかった。