第4章 Innocent Love*孤爪研磨√
「ケン。」
そのやりとりを見ていた桃は校舎に戻ろうとする孤爪を呼び止めた。
「なに…?」
「日向くんにトス、打ってあげたら?」
「………なんで?」
意外だったのか少し間が空いた。
「トスを望んでる人には、してあげるのがいいんじゃないかなって思って…まあ、決めるのはケンですけどね。」
桃はどこか寂しそうに遠くを見つめている。
孤爪は彼女の気持ちを痛感していた。
「桃はさ…」
「うん?」
「もうトスを呼ばないの…?」
「…呼んでもいいのなら呼びたいです。」
「だったら…「でも。」
孤爪の声を遮るように桃が言葉を続けた。
「私には資格が無いから……」
悲しい微笑みに孤爪は何も言えなかった。
だから返事の代わりに……