第3章 運命の始まり
「そういえば、桃ちゃん。バレーやってたんだよね?」
聞き手に回っていた桃に、いきなり話が振られる。
「は、はい…やってましたよ。」
「流石美人はなんでも出来る…!」
谷地が赤くなっていたが、皆気にしなかった。
「実際やるの、大変そうだよね~!」
「桃が打つの見たい!スパイク………は出来なくても……そうだ、サーブしてよっ!」
興味と顔が桃に向く。
それぞれの目が「見たい」と言っていた。
「はい、ボール!」
どこから出したのかボールを渡される。
そしてそのまま背中を押された。
これはもうやらなきゃならない雰囲気だ。
(いや、とは言えませんね……)
桃は苦笑いを浮かべる。
だが躊躇いと同時に打ちたいという衝動に駆られているのも事実だった。
(…昨日、あんなことを考えていたからですかね?)