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バカと煙は高いところがおスキ

第1章 夏休みの課題は終わらない




肩を揉むと言い出した私に対して「いやいやいいから。ワークやれバカ」とけなしてくる澤村と押し問答していると、ポカンと見つめてたスガくんが

「おまえら仲いーのなー!夫婦漫才みたいだべ」


ケラケラ笑いながら私たちを指差した。


「めっめっ、夫婦!?!やだやだ!澤村と夫婦になるくらいなら死んだ方がマシィィイイィイ」

「おーまーえーねー、2年の時の恩を忘れたとは言わせないぞ?」

黒い澤村がズゴゴゴという効果音と共に降臨した(気がした)のでしゅるるると縮まざるおえない。

そう、こいつには恩があるから何はともあれ逆らえない。




「クッ………。澤村ファッキン………」

「2年の時の恩?」

「2年のとき三城と同じクラスでさ、あまりにもテストの点数を取れないこいつの世話を担任から頼まれたのよ」

「え、そんなに悪かったの三城」

「うっ……うぅ。そんなこと……」


ため息をつく澤村に更にしゅるしゅると縮まる私を見てスガくんは苦笑い。

う、ううう。恥ずかしい。


「まあ一回教えたら飲み込みは早かったんだけどな!バカだけどバカじゃないっつーか、器用貧乏っつーか…」

そこで閃いたように、スガくんがぴょんっと頭上にチカチカと豆電球を光らせた。

「じゃあ、大地も三城に課題教えるのに加わればいいじゃん!俺より大地のが順位上だし」

「えええええええ!それはチョット、あの、」



そんな、嘘だ。
2人きりのスウィート・タイムが…!

スガくんとの…!お勉強会がっ……!


あわあわと1人で焦ってると

「課題?なんでまた」

「三城多分課題ノータッチ。ほら」


ぺらりと再び真っ白なワークを澤村に見せると、真っ白のそれに顔面蒼白にして叫んだ。

「おっまえまた!受験生だってこと理解してんのか?」

「し、してますゥー!いいから!澤村は教えてくんなくていいからーー!」

「そんなこといってる場合か!この大切な時期に…」



ガミガミとお説教が始まり、うつむいて唸りながら聞いている私をみてスガくんはこれまたにこやかに見守っていた。

ううう、スガくん……。
どうしてよりによって澤村なの……。





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