第1章 夏休みの課題は終わらない
スガくんはきょとん、私は汗をダラダラ流して沈黙を過ごしていると、突然私のワークを取り上げた。
「なっ…!私のワークゥゥゥ…」
「うわーやっぱりなー。三城の事だし1問も解いてないと思ったべ」
「…ぐぅ。ところで何ページまで?」
「何ページっつーか、一冊だけど…」
「んえええええ!終わらない!!」
ガタっと立ち上がって今度は私が戦慄した。
終わるわけない。課外を含めずに夏休みはあと一週間しかないのだ。古典だけならまだしも、理系教科なんて見てもいない。
ンアアア……と力なく座ると天使、もといスガくんが困ったように笑ってなんとも今季最大の嬉しいことをさらりと言ってくれた。
「明日から3年は部活ないから、三城がココ来るなら教えてあげようか?」
「………!はい!!ヨロコンデ!!」
課題よりもなによりも、スガくんと会える上、教えてくれるなんてなんともなんとも!!
これは神が私に「YOU、くっついちゃいなよ」といっているにちがいないわ。
「………そいや、ナツキ見なかった?一緒に来たんだけど…」
「ああ、斎藤?斎藤なら俺が帰るときにすれ違いになったよ。んで三城を起こしてやってって頼まれた」
「………………………グッジョブ」
「ん?」
「ううん!じゃあよろしくお願いします」
今日最大の笑顔でおじぎをすると、ふわっと笑って
「こちらこそ!」
と首をこくっと曲げた。うわわ天使だ!!
その直後、イレギュラーが現れた。
なんとも攻略難航な、あいつが。
「うーす。お、三城が図書室にいるなんて珍しいな」
「ンゲ、澤村……」
「珍しい?そんなことねーべや。三城いっつも図書室で………………寝てるけど」
「え?俺毎日通ってるけどほぼ来てな「イッヤーーーー、澤村今日も大将?将軍?やってきて疲れてんだよね!ほら肩でも揉もうか!?ね!?」
「てか主将だけど……」
あっぶね!スガくんに合わせて図書室通ってんのバレるとこだ。澤村は紳士だけど、絡まれたらめんどいしな。
隠し通すに越したことはないわ。