第13章 君じゃなきゃ
「青峰って、ヒーローみたいだね」
「はあ?」
「ふふっ、困った時に現れるから」
そう言ってやれば、青峰は「意味わかんねぇ」と笑った。そういえば彼には出会った時から助けられてばかりだったような気がする。青峰って少し柄は悪いしたまに反抗的で、けどバスケが本当に好きなのか合宿中の彼は意外と真剣に練習をしている。
皆の試合を見たことがないから、どんな風な試合なのか想像もできないけど、個性的なメンバーなのはわかる。ただ……本当に黒子はレギュラーなのかと疑う瞬間も何度かあったけど。
「有栖は……どうしようもねぇくらい、どんくさいからな。俺みたいな奴がこうして面倒みてやるのが丁度いいんだよ」
「黒子みたいなこと言うね」
「テツみたいにサポートとかは俺には出来ねぇけどな。なんかあった時、話くらいなら聞いてやれるぜ?」
「話くらいか……」
黄瀬に告白されたことを思わず思い出した。直接相談しようとまでは想わなかったけど……ちょっとだけ、遠回しに相談を持ち掛けてみることにした。
「青峰はさ、誰かに告白されたことある?」
「あ? ねぇよ」
「そっか……モテないからか」
「おい、殴るぞ」
「ははっ、ごめんごめん。もし誰かに告白された今の青峰ならどうする?」
「あ? ん――……さぁな。相手によるんじゃねぇか?」
「私が青峰に告白したら、どうする?」
「はあ!!?」
思いの外凄い反応が返ってきて私も驚いた。そ、そんなにびっくりしなくても……目を丸くしながら彼を見つめれば、彼は心なしか頬を赤く染め「知らねぇよ馬鹿っ!」とそっぽを向いてしまった。