第2章 幼馴染の彼と私
「うわっ、あっ敦君! お、お、おはよう!!」
「ん、おはよー。有栖ちんどうして俺のクラスに?」
「あ、えっと……」
「どうやら彼女は、紫原に何やら昨日のお礼を渡しにきたらしいぞ」
「……ふぅん?」
征十郎の助け舟のお陰で、本題に無事入ることが出来た。うっ、でもなんか他の人達が見てる前で渡すのって恥ずかしいんじゃないの!? うわぁあああ失敗した!!
「こ……これっ!!」
ええい! もうやけくそっ!
思い切って包みを渡せば、ふわりと包みが手の中からなくなる感覚がした。そっと彼の方を見れば包みを手に取りじろじろ眺めていた。べ、別に怖い物は入ってないからね!
「んー、いい匂い。クッキー?」
「そうだよ! 昨日、甘い物が好きって言ってたから」
えへへ、ちょっと頑張ったんだからね! お菓子作りは得意じゃないけど、珍しく美味しく出来上がった。今日渡すのはが本当に楽しみで仕方なかっただなんて、それは秘密です。