第9章 乱されほだされて
「有栖ちんってお菓子みたいな魅力があんのね、んで俺はお菓子大好きだからつい食べたくなんの。他の奴に食われるとか、想像したくないし」
「あ、敦君? な、何その訳の分からない……」
「俺だって意味わかんねぇし! 赤ちんがなんでそんなに怒ったのか、俺はただ……本当に有栖ちんにそうしたかったからしただけで……! だから……はぁ、もうっ」
「特別な意味は……ない?」
自分で言っておいて、胸が痛い。敦君はその私の言葉に対して、肯定も否定も見せないまま「あのさ」と言葉を紡ぎ始めた。
「そういうんじゃないわけ。有栖ちんに触れたかった。それ以上の意味なんて、ないの」
先程のビジョンが、巻き戻されてリプレイされていくように。もう一度彼は、私にキスをした。
やはり啄む様に、まるで本当に全てを奪っていくかのように。でも拒むなんて、出来そうもない。それがどこからくる感情のせいなのか、まだ子供な私にはいまいちわからなくて。ピンと来ない感情についていけないまま、ただ敦君に貪られていく。
互いの息を混ぜて分け合って、至近距離で見つめた彼のアメジスト色の瞳は、強く独占欲に濡れてみえて、どきりと鼓動が鳴った。私の勘違いでもいい、彼に少しでも私が映るのなら。
「なにっ、考えてる……?」
「え……っ?」
「他のこと考えるとか、無理。だめ」
「あ、敦君!?」
彼の大きな手が、私の晒していた太腿を撫でた途端、勢いよく部屋の扉が開いた。