• テキストサイズ

【黒バス】透明な君に恋してる

第8章 触れて離れて



「黄瀬、お前にはもっと苦痛を味わえる練習メニューを組んでやる必要がありそうだな」

「ひいっ!? 勘弁してくれっス!!」


 逃げるように、黄瀬は走り去ってしまった。うん、あほの子だなあれは。


「有栖も有栖だ、何黄瀬に口説かれている」

「えっ、あれって口説かれてたの?」

「お前はもう少し警戒心を持った方がいいぞ」

「と言われましても……」

「とにかく。見学しても構わないがぼうってするなよ。ないとは思うが、ボールが飛んでこないとも限らないからな」

「大丈夫、皆ならそんなへましないでしょ?」


 そう笑顔で返せば征十郎は仕方ないとでも言いたげな顔で、いつもの調子で練習へと入っていく。私はお言葉に甘えまして、初めてバスケ部の練習を見学させてもらうことになった。

 学校とは違い、野外での練習。当然日差しも強く、尚且つ暑い。頭からタオルを被りながら、皆の練習を見守ることに。


「あらら、珍しいね。見学?」

「敦君! お疲れ様」


 傍にあったタオルを一枚取って彼に渡した。


「休憩?」

「うん、そう。今から峰ちんと黄瀬ちんが1on1やるらしいから」

「へぇ……バスケってよくわかんないけど、皆凄いよね」

「そうかもねぇ。有栖ちん、お菓子とか持ってない?」

「残念ながら持ってないや」

「それは残念」


 敦君はスポドリをがぶがぶ飲みながら「あちー」とこぼしつつ、二人の試合を眺めていた。初めて見た皆のバスケは、思っていたよりもレベルが高くて、とても中学生とは思えなかった。私も何か取り柄とかあればいいんだけどね、今此処で私が出来ることといえば料理くらいなのかな……。

/ 123ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp