第1章 凸凹なふたり
「あっはは、まじ有栖ちん面白すぎ。こんな面白い女子初めてなんだけど」
「それは褒められてるの……?」
「褒めてる褒めてる。有栖ちんとはなんか仲良くなれそう」
「そりゃどうも」
「拗ねてるの?」
「拗ねてないもんっ!」
彼の笑う声、笑ってる表情。すぐに面倒くさそうな表情に戻るけど、なんだろうこれ……。心臓の鼓動がやけに煩く感じる気がする。
――どきどきってこういうの?
じと目で見つめると、敦君は「変な顔」とまた笑った。
「敦君って女子と話すのにあんまり抵抗なさそうだよね」
「そう? まぁ、よくお菓子交換とかしてるからかも」
「お菓子好きなんだ。ああ、だからポッキー?」
「お菓子ならなんでも好きだよ」
「そうなの? 女子かよ」
「男子ですけどぉ」
「はっ、うるさっ」
こういうやり取りが新鮮で、夢中になって、つい笑顔が零れる。楽しいなぁ、敦君いい人だな。