第7章 影は静かに見え隠れ
「それとも、赤司君に送られたかったですか?」
花火が上がる音がした。黒子は振り返り、顔を上げ花火を眺めては「綺麗だなぁ……」と呟いた。
「そんなこと……っ! 思ったり、してないよ」
「……南雲さん?」
「敦君に送られたいとか、征十郎に送られたいとか……そんな失礼なこと思うわけないじゃん!」
そういうことじゃなくて、私はただ……。
「だって、私は送るってことは、皆と花火が見れないってことなんだよ!?」
黒子が、どれだけバスケが好きとかバスケ部のメンバーを好きだとか、ある程度はわかっていたつもりだったから。だからこそ、思うわけで。
「なんだ……そんなことですか」
黒子がくすくすと笑う声が聞こえてくる。何がおかしいんだ、結構真面目に考えていたのに。真剣に、考えていたのに。