第7章 影は静かに見え隠れ
「いや、黒子は皆と花火でも見ていてくれ。俺が有栖を送ろう」
「征十郎?」
「俺があの時お前達と一緒に、たこ焼きを買いに行っていればこの事態は防げただろう。俺にも責任がある」
「せ、征十郎は悪くないよ!」
「そうだよ赤ちん! 俺が一番悪いしっ」
「あの」
黒子は、私達の言葉を遮る様に、はっきりと口にした。
「僕が、送りたいです。だからすみません、行きますね」
皆と、それから私が唖然とする中、黒子はそのまま背を向け歩き出した。
黒子の体温を感じながら、私は複雑な思いを巡らせた。さつきちゃんごめん……なんて、言える立場にないよね、うん。
「黒子、なんで送ってくれるなんて……言い出したの? 君、私の家と逆方向でしょ」
「別にどうだっていいじゃないですか」
「だって……」
「……紫原君に送られたかったですか?」
「え?」
息を呑む。