第7章 影は静かに見え隠れ
「有栖ちんまじ探した! 無事!?」
「うん、大丈夫だよ。ただ……」
「この人、下駄なくしましたけどね」
「それは黒子がいきなり手を引っ張って走り出すから!!」
「僕のせいですか? はあ……自分の非を認めず僕に押し付けるとは。駄目な人です」
「おいっ!!」
皆は怒るということもせず、ただ私と黒子のやり取りに笑っていた。
「敦君、ごめんね。たこ焼き買いに行けなくて」
「別にいいし……んっ」
「これは?」
「綿あめ。元はといえば、俺がぐいぐい歩いて行ったのが悪いんだし、ごめん」
「え!? あ、ううんっ! 気にしないでよ。私なんて途中で道に迷って、この有様だし」
「花火見ます? 見るなら、僕近くでビーサン買ってきますけど」
「ううん。もう、帰ろうかな……疲れた」
「そうですか。じゃあ、僕は彼女を送って帰ります」
皆には悪いと思ったけど、下駄をなくした私がいても皆にもっと迷惑をかけてしまいそうだし。あ、でもこのまま黒子に送られてしまうとさつきちゃんが……!!
不意にさつきちゃんの方へ視線を向けると、少し寂しそうに俯いてて……ああどうしよう。