第5章 数センチの距離
「敦君も、来るんだ」
彼のことだ、食べ物が一番の目当てに違いない。確かにお祭りの出店の食べ物はどれも魅力がある。もうそれは恐ろしい程に。
焼きそばにたこ焼き、お好み焼きにデザート系はかき氷や綿あめ、それに林檎飴にチョコバナナ。定番中の定番だ。
「浴衣、洗っちゃおう」
敦君が来るなら尚更……不思議と彼に、浴衣姿を見せたくて仕方なくなった。例え褒めてくれなくても、少しでも可愛いと思ってほしいと願いながら。
次の日。夕方に待ち合わせていた私達は、待ち合わせ場所の学校校門前に急いでいた。
「さつきちゃんって意外と支度遅いよね」
「それは言わないで!」
さつきちゃんと二人で急いで向かうと、やはりというか……男性陣は既に門の前で談笑しながら待っていた。
お? 皆甚平着てる!!