第1章 凸凹なふたり
「私、南雲有栖。君は?」
「俺? んっと――……紫原、敦」
「敦君だね! ありがとう。お言葉に甘えて、傘の中にいれてもらってもいい?」
「いいよ、おいで」
凸凹な身長差がどきどきするのは、気のせいとうことに。
冷たい雨の中、身長差のせいか傘が物凄い高い位置!! うお、流石だ……。
「もしかして、敦君はバスケ部?」
「なんで知ってんの?」
「いや……身長高いからってだけなんだけど」
「そういうあんたは身長低いね」
「大きなお世話だ! 別に気にしてないからな!? 女の子は小さい方が可愛いんだぞっ!」
自分で言って悲しくなってきた。溜息をつくと、ふわりと頭を撫でられた感触に驚いて彼を見上げた。
「ん、可愛い可愛い」
「うっ……やっ、やめろぉいっ!」
恥ずかしさから手を払いのけようとすれば「南雲危ないやめてぇ」とけらけら笑う彼の声。ああもう、何なんだよこの緩い生き物は。