第1章 凸凹なふたり
「雨だー!」
雨が降る、夏の午後。天気予報では雨とは言ってなかった気がするんだけど、見事に空からは大粒の涙が降り注ぐ。
「傘持ってないんだけどぉ……」
「傘持ってないの?」
「え……?」
振り向いたらその人は、傘を大きく広げてこちらへと傾ける。
「もしかして……入ってもいいの?」
思ったよりも身長が高くて、少し驚いた。何センチあるんだろう? まぁ、私なんて平均より少し低いから、余計そう思うのかも。
「勝手にすればいいと思うよ」
ポッキーを口に含んだ彼。合わない目線のまま、見つめれば目が合った。あ、ちょっと可愛い。