第2章 幼馴染の彼と私
予鈴が鳴る、お昼休みまであと一限授業を我慢すればいいだけ。外を眺めながら、ただその時を待った。
暫くして、窓を打つ雨の音が聞こえてきた。ええ、また今日も雨!? 今日も傘ないんですけど……。グランドの方を見れば、体育をしていた隣のクラスの生徒達が慌てて校舎内へ戻る姿。お……? ふと、征十郎と目が合った気がした。
気のせいだとは思ったけど、手を振ってみるとこれが案外返してきた。どんだけ視力いいんだよ!!
「あっ……」
征十郎が手を振るのを不審に思った敦君が、ようやく此方へ気付いて顔を上げた。
こんな遠くから、彼と目が合う。とても不思議な感覚だ。遠くからでも、彼の表情はなんとなくわかる。少しだけふっと笑うと、のんびりした動作で彼もまた手を振った。
元気よく手を振り返したら、背後から消しゴムが飛んできた。
「いたっ、何するのよ黒子」
「次、二十ページ頭から」
「……!」
「南雲、次お前だぞ。読め」
「はっはい!」
黒子の言葉を頼りに、先生がもう一度私の名を呼ぶのを合図に席を立ち教科書を抱えた。黒子の教えてくれたページは、どうやらあってみたみたいで彼のお陰で事なきを得た。
「ごめん黒子、ありがとう」
「パン奢って下さいね」
「ちゃっかりしてやがる……」
窓の外のグランドには、もう生徒は残っておらず、窓を打つ雨だけが映り込んだ。