第17章 番外編:01 受験準備
「俺は洛山へ行くよ」
「洛山!? そ、それって京都の方だよ!? せ、征十郎……東京出ちゃうの?」
「寂しいか?」
「……寂しい」
思わず目を逸らした。だって、折角征十郎と昔みたいに仲良くなれたのに、高校入ったら離れ離れだなんて……。
「何それー、まじ妬けるんだけど」
「あ、敦君!?」
ぬっと音もなく背後に現れた敦君。正直どうやって静かに私の背後に回ったのか、とても謎!
「有栖ちんは、赤ちんと同じ高校に行きたいの?」
「え? いや、別にそういうわけじゃ……」
「俺と赤ちん、どっちが好き?」
「うえ!? えっ、えっと……敦君、だよ?」
「……」
敦君は、無言で私を背後からぎゅっと抱きしめた。
「有栖ちん、俺と一緒の学校行こう?」
「でも勉強が……」
「そこの二人、俺の前でいちゃいちゃするのはやめてくれないかい?」
「ご、ごめん征十郎っ」
そんなつもりじゃないのにっ!!
征十郎の視線が、あまりにも怖かったので思わず口元が引きつった。でも敦君はあまりに気にしていない。強い子だ……。