第17章 番外編:01 受験準備
「ん――……俺は、たぶん有栖ちんがいてもいなくても陽泉を選ぶけど。でも、どうせなら有栖ちんがいる方がいい。寂しいの、嫌だし」
「敦君……」
むむっとしかめっ面を浮かべる彼に、思わず微笑んでしまう。だって、こんなにも嬉しいことを言ってくれるのだから、少しくらい顔がにやけてもいいと思うんだ。必要としてくれてるんだなって思えて、幸せだから。
「どうやら俺はお邪魔かな? まぁ、二人でゆっくり進路の話でもすればいいよ」
「あっ、征十郎!?」
「ごめんね、赤ちん」
「謝るなら、今度は他所で頼むよ」
征十郎は爽やかに手を振り、この場を去った。敦君は先程まで征十郎が座っていた席へ、腰を下ろした。丁度、向かい合わせの席。
「ねぇ、敦君」
「なぁに?」
「……私の成績で、陽泉って行けるのかな?」
「別に有栖ちんは頭悪いこともないじゃん。凡人だけど」
「一言余計だよぉっ!!」
悔しい! わ、私だってやればでき……できる……も、もん。
私は悔しさから、机へ突っ伏した。