• テキストサイズ

【黒バス】透明な君に恋してる

第16章 相合傘



「有栖ちんって、めんどくさい」

「……うん」

「でも、言わないで、もう」

「ごめん……」

「違う、わかってないでしょ? 何を言わないでって言ってるのか」

「ん?」


 ふわりと、抱きしめられた。


「嫌いなんて、言わないで。聞きたくない」

「敦君……?」

「好き、だから……言わないで」

「え……?」

「好き、有栖ちんが……好き」


 彼の鼓動が聞こえる、高鳴っていく音に私まで緊張が移っていく。

 嘘、だって……私、敦君に嫌われるようなこと……ばっかり。


「嫌いって言われて、わけがわかんなくなった。嫌だって……思った。やだ、俺はやだっ! 有栖ちんが俺を嫌いとか無理! 無理だから……っ」


 どうしてだろう。どうして、なんだろう。涙交じりの声が聞こえる。苦しい、このままぎゅっと抱きしめても……いいの?


「有栖ちんの言ってることは、むかつくことばっかだった。でも別に、本気で気にしたりとか、ないし。謝らなくていいし……! だから俺のこと嫌いにならないでっ!!」

「っ……!」


 彼の大きな背中に、腕を回す。めいいっぱい、ぎゅっと。

/ 123ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp