第16章 相合傘
「何処にいても勝利する。ふふ、征十郎らしい」
敦君も、帝光を卒業したらどうするかな。やっぱりバスケ……やめちゃうのかな? いや、でも好きじゃなきゃ続かないものじゃないの!? 高校でバスケ、やらないのかな。
「見たいんだけどな……」
「何を?」
「え?」
誰の声? 振り返れば、そこには片方の頬を赤く腫らした、敦君の姿があった。
な、なんで!?
「え、え……」
「なんか、峰ちんが一々体育館に顔出して、屋上に行かないとまいう棒食うとか言われて脅されてきたんだけど。これってもしかして、有栖ちんの差し金?」
「……だったらいいよね」
よくないだろ。心の中で自問自答、青峰が気を利かせてくれた? あいつ……空気読めたんだ、と思っていることだけは絶対に内緒。
敦君は、めんどくさそうにしながらも私の近くまで歩み寄る。
気まずい……気まずくて、どうしたらいいかわからなくて、俯いた。
「ねぇ、有栖ちんってほんとむかつく」
「……うん」
「人が話してる時はどうするんだっけ?」
「……相手の目を見て、聞く」
おそるおそる顔を上げた。やばい、目が赤いままだった……って泣いてることがばれるわけないか。