Do not look back behind【進撃の巨人】
第2章 自分の足で
早く帰らないと…。みんなお腹を空かせて待ってる。
昼食の材料を抱えると家族を思い、疲れきった足をまた働かせる。
孤児院のあるトロスト区に入った時、それは起こった。
建物が崩れたような大きな音。
人の泣き叫ぶような悲鳴。
漂う蒸気。
目の前には、笑う巨人。
「また…壁が…」
身体から力が抜け、ハンナは膝から崩れ落ちた。
先程までの感情が嘘のように5年前の恐怖が鮮明に蘇る。
逃げ惑う人の波。
崩れる街並み。
顔にかかる生温かい…鮮血。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ハンナは耳を両手で塞ぎ、狂ったように叫んだ。
その声で周りの巨人もハンナに気づき、ゆっくりと手を伸ばす。