Do not look back behind【進撃の巨人】
第2章 自分の足で
心臓がうるさく跳ねていて自然と手が震える。
ごちゃごちゃとした何かが頭の中をぐるぐるとまわっているような感じ。
額には汗が流れる。
ゆっくりと振り返ると、ばつが悪そうにあの男が立っていた。
お互いに目を合わせなくて沈黙が重い…。
「悪りぃ…。」
思ってもみなかった言葉をかけられてハンナは思わずリヴァイの顔を見つめ、口をポカンと開ける。
この人から謝罪が出るとは思わなかった。
勝手に見た目から、人がどう傷つこうが自分のプライドを優先させるような男だと思っていた。
私の偏見だったのか。
そう考えると急に昨日の自分の態度が恥ずかしくなり、今までの態度が申し訳なくなった。
「あの…その。こっちこそごめんなさい。私もキツく言いすぎたとは思ってます。でも、手紙は階級が班長以上の兵士さんにってたのんできたのはあなた達調査兵団のほうですし、私は仕事を全うしようとしただけですから。」
そう言って目線を男に向けると、彼の眉間には深いシワがよせられていた。
「ご、ごめんなさい。」
そう言いかけたところで言葉を遮られた。
「名前は?」
「ハ…ハンナです…。」
自分の名前なのにやけにたどたどしくなり、顔に熱が集まる。
…恥ずかしい。
「姓は。」
やけに上からの物言いだがこの人と話すことに慣れてきたようで頭にこなくなっていた。