Do not look back behind【進撃の巨人】
第1章 強く握られた拳
孤児院の二階。
1番奥の部屋は暗黙の了解で誰も近寄ろうとはしなかった。
ハンナは躊躇なくドアを開ける。
「ゲルダ!!」
「あらハンナ。帰ってたの。」
優雅にベッドに腰をかけ、本を読んでいる様子がさらにハンナを苛立たせる。
「おまえ!……ッ!!!」
ハンナは言葉を失い立ちつくす。
部屋へ一歩踏み入ると嗅いだことのない匂いが立ち込めていた。
しかし理由はそれではない。
育ての親、ゲルダの後ろに横たわりうずくまる背中。痣と赤い斑点が身体中に見える、シーツに包まれた真白な身体。今の位置から確認出来る限り、服を着ていないようだ。
「…カイ?」
名前を呼ぶとそれは小さく震える。