Do not look back behind【進撃の巨人】
第1章 強く握られた拳
「なっ……。」
ハンナは大きく目を見開くと膝の力がぬけ、その場に崩れ落ちた。
鼻血を出していて意識のない子、痣だらけでうずくまっている子。
床には破れたカーテンや衣服、足のないイスが倒れていた。
なんだこれは…。
いや、思い当たることは1つしかなかった。
自分の動かない足を叩くと、よろけながらうずくまっているマヤのそばに屈む。
ゆっくりと顔を上げるマヤ。
「…マヤ?何があったの。」
マヤはハンナと目が会うと、虚ろな目で一度瞬きし、端から血が滲む口を小さく動かした。
「ハンナ…お姉ちゃん。ごめんなさい。」
その瞬間、身体中の血液が頭に登っていくのを感じた。
ゆっくりと立ち上がると、迷うことなく走りだす。