第2章 幼い頃の御話
早速、目をつむって意識を集中させた。
『_____。』
そうすると、頭の中に文字が浮かんできたので言葉として紡ぐ。
すると、男の目が虚ろに変化し始めたのだ。
『初めて術を使ったけど、成功したみたいだね。』
術を使った後の疲労感に身体が驚いてるようで足に力が入りにくい…
だが、その時の僕はそれを気にするどころか、目の前の獲物に興奮して冷静さを失っていたんだ。
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『……ん、はぁ…………ッ……』
今、僕がいる路地裏にある音は、
卑猥な水音と俺の吐く吐息くらいだろう。
『…んぁ……ふッ……ぅ…ん、…………』
『………あ、あああぁぁッ………………は、あ……はぁはぁ……は、……ッ……』
意識のない男の中に挿れた自身を急いで抜く。
その瞬間、僕は果ててしまった。
辛うじて、中に出すことは避けられたようだ。
……やっぱり、中に出すのは嫌だからね。
僕は“初めて”(記憶が無いので定かではないが)を
捕まえた、名前も知らない人で無くした。
本当は好きな人でそうしたかったのだが、
インキュバスとなった今、それは叶わないものだった。
インキュバスは淫乱だからね………
知らない人を無意識で襲うことなんか当たり前。
寧ろ、無いと生きていけないという程、性に飢えている……
だから、その生き方に絶望しないように楽しむと決めた。
インキュバスとなった以上、後戻りは出来ないのだから……
あ、そうそう、
多分、その時に男になりたかった理由は“挿れられたくないから”だったかな?
……俺も相当な負けず嫌いだなw